空気汚染度をガスセンサーで計測する!
ラズベリーパイは超小型・安価で様々なセンサーと簡便に接続できることから趣味の電子工作から産業用のIotデバイスまで幅広く使用されています。温度、光、赤外線、衝撃であろうが、raspberry piに接続できるセンサが手に入れば何でも測定可能です。raspberry piに接続できるようなセンサなんて感度や精度、分解能は低いんじゃないかと思うかもしれませんが、raspberry piの知名度や最近はIotが注目されていることもあって高性能なセンサがどんどん発表されています。
2020/08/13にAvnetから総揮発性有機化合物(TVOC)を1bpm ~ 1ppm(30 ppm)の濃度まで測定できる半導体製品大手のルネサスのガスセンサZMOD4410を搭載したraspberry pi用のセンサ(AES-RHSEN-ZM44-G)を発表しました。
TVOC測定、臭気測定、硫黄系の周期測定、二酸化炭素測定(推定)などが可能です。
二酸化炭素に関しては室内のTVOCと二酸化炭素濃度の相関からCO2レベルを予測できるみたいです。MoxガスセンサはCO2を直接測定できません。二酸化炭素測定に用いようとする場合はあくまで推定値ということに注意が必要です。
TVOC 全揮発性有機化合物とは?
全揮発性有機化合物(TVOC)とは揮発性の有機化合物(C1~C16程度)全般のことです。
問題となるようなTVOCには、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドや発がん性等、有害性の高い物質や不快な臭気を持つ物質、ベンゼン、トルエンなどがあります。
これらの物質は外気から来るものから室内にある物体から揮発してくる場合も多いです。
スプレー剤に含まれるガス、建築材のウレタンや接着剤などから揮発してきます。
ガスセンサの仕組み
ZMOD4410に搭載されたがセンサは酸化物半導体(MOX)ガスセンサと呼ばれるもので、一般的なガスセンサです。特徴は可燃性有機化合物に対して高い感度を示し、安価かつ小型にできるメリットがあります。物質選択性は低いので特異性の高いガス検知器ではなく、TVOCなど複数種類のガスを検知するのに使います。MOXガスセンサは湿度や温度による影響を受けやすいので測定環境には注意が必要です。
ガスセンサはn型半導体である酸化スズなどの酸化物を焼結して作られています。この酸化物表面上に気体分子が吸着すると抵抗値が変化するのでガス検知が可能です。
菊田春樹, et al. “分子鋳型吸着剤を用いたガスセンサによる湿度変動の交流分離.” 電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成 27 年度電気・情報関係学会九州支部連合大会 (第 68 回連合大会) 講演論文集. 電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会, 2015.
一本松正道, and 佐々木博一. “酸化スズ半導体ガスセンサーの動的挙動の解析.” 日本セラミックス協会学術論文誌 97.1126 (1989): 634-639.